ウクライナのゼレンスキー大統領を独裁者と罵倒し、反対に狂気の絶対独裁者ロシアのプーチンと話し合うという。これが世界の民主主義の中心であるアメリカ大統領の発想だろうか。まさに晴天の霹靂、大それた神への冒涜でしかない。ウクライナ領の併合を狙ったプーチンこそ侵略者その者であり、現在世界では許さざるべき者にすり寄るトランプの体たらくは、国際政治として汚名を残すだろう。もし、戦争をディール、すなわち取引で決めるなら、それは弱者側への詐欺行為であり、少なくとも侵略を受けている国が取引に応じること自体あり得ないだろう。かつて敗戦間際の日本帝国はアメリカとの和平を狙ってロシアと取引を行おうとしたが、平和中立条約をいとも簡単に反故にされてソ連の怒濤の攻撃に多くの日本人が殺害され領土が奪われた。これが取引なら、約束など全く必要無く、力があれば敗者から全て奪えるという理屈になる。如何に「取引」という概念は戦争の交渉ごとに出すことは異常なのだ。ちなみに、関ヶ原の戦いは「取引」そのもので勝敗が決まった。ご存じ、徳川家康が大量の手紙と交渉術で、関ヶ原西軍を貶めることに成功した。小早川軍は西軍側、まして豊臣恩顧の大名が徳川寝返った訳だ、さしもの石田三成もビックリしたろう。小早川は徳川家康から最大の賛辞と感謝を受け、100万石の大大名になった。ただし、3年後には小早川家は滅亡しているのだが、さらに豊臣家も滅亡した。大阪夏の陣も、冬の陣での取引に応じたにもかかわらず徳川方の暴力で裸城となった大阪城で全滅している。プーチンか、ゼレンスキーか、はたまたトランプか、このディールの勝者の行方は分からない。関ヶ原ではディールに応じた小早川も豊臣も滅び、取引と見せかけて騙した徳川が全部を奪い取る。現代の闇バイトの詐欺師もビックリの大芝居だ。そう見ると、悪魔に魂を売るような提案をし脅迫と詐欺行為で一杯喰らわせた方が世界を牛耳る事になるのだろう。ただし、悪魔に魂を売るという取引をした者は、最後は悪魔に全てを奪われるということになる。では、徳川家康は悪魔とともに地獄に行ったのだろうか。徳川家康は一体誰と取引したのか。家康が行った取引相手は悪魔とではなかったと言うことだ。家康は織田信長の敵を討ったのかもしれない、織田家の天下を盗み取ったやつを天に代わり徳川家康を支持したのかもしれない。信長と取引に勝ったのは秀吉ではなく家康だったのだ。世界を騙したプーチンに騙されたトランプに明日はない、世界の平和もないということだ。