井沢元彦氏が、豊臣秀吉が天下平定後も、そのまま国内整備に行くのではなく、朝鮮半島への出兵に動いたのは、それまであった強大な武士団を失業させないためのやもえない事情があったのだという。その通りだろう、戦国時代が終われば侍の仕事はなくなる、それは徳川幕府成立時もそうだし、明治維新後も同じだ。少なくとも秀吉は戦国時代を生き抜いた大勢の猛者を抱えねばならぬ以上、朝鮮や唐国への挑戦を試みたのであり、そして十分に勝算の見込みはあったのである。このように歴史を見ると、膨大な軍事力は、国内事情と言うよりも対外的な戦争をしないと職業軍人の存在そのものが大きな障害になると言うことだ。世界の超大国アメリカは世界中に軍事施設と大艦隊を持っているが、そもそも北朝鮮、ベトナム、イラク、アフガニスタン、ソ連、中華人民共和国、イスラム原理派など次々と戦争がある以上、兵士の職は食うには困らない、逆にこれ以上の国防費維持が問題なくらいだ。しかし、対外戦争を匂わすだけで単に国内の軍備を増強してきた、北朝鮮、ロシア、中国はいよいよその矛先を戦争に向けないとかれら軍人の存在意味がなくなってしまう。その結果がロシアのウクライナ侵略だ。ガザ地区のハマスも隠し持っていた大量の武器を使わないと、本当に宝の持ち腐れで野垂れ死ぬという感覚で暴発したのだろう。さて、中国はいつ習が台湾侵攻をはじめるか。如何に国内経済が破綻しかかっても、膨大な軍備は健在だ、そして国内が不安定になればなるほど、軍人への期待は高まる。はなから戦う能力がない北朝鮮はカッコだけで粋がるのが精一杯でも、中国は数だけなら負けない戦力があり、このまま経済崩壊により、人民解放軍将校や兵士があおりを喰らって失業するなら、まさに習政権は瀬戸際になる。故に習は中国崩壊前に、人民解放軍を台湾攻撃に向けるだろう。一刻も日本は有事に備えないと、三度目の元寇で、だれが戦うのかと秀吉も案じているに違いない。